外国人の在留資格ミニ知識16~老親扶養目的の特定活動~
外国人の在留資格ミニ知識16~老親扶養目的の特定活動~
(1)概要
自社で採用した外国人社員が、本国に居る親を日本に呼び寄せるにはどのような方法があるのでしょうか?
前回は、高度専門職の優遇措置として帯同・呼び寄せる方法について説明しました。
今回はそれ以外の場合について説明します。
まず、90日以内の短期滞在であれば、外国にある日本国大使館で親族訪問ビザを申請・取得することができます。
同居のためさらに長期間居住する場合は、予定された在留資格がありません。
したがって、日本での就労・家族滞在のように、来日前に「在留資格証明書交付申請」をすることはできません。
そこで、難度は高いものの、一旦親族訪問目的の短期滞在ビザで来日した後に、
「特定活動」(告示外)の在留資格に変更申請する方法が考えられます。
(2)要件
当該在留資格変更は、人道上の見地等の特別の事情が勘案され例外的に認められるものです。
明確な審査基準はなく、具体的な事情に即して総合的に判断されます。
「同居せざるを得ない理由・やむを居ない事情」の有無がポイントとなります。
具体的には以下のような事情があれば認められる可能性があります。
イ.親が高齢かつ看病が必要であること。
70歳以上という年齢が目安です。
生活に支障があるレベルの持病・障害がある等の具体的な事情により70歳以下でも許可される可能性がある反面、70歳以上でも特別な事情がないとのことで許可されないこともあります。
また、持病・障害の種類や程度によっては、当該資格は認められず「医療滞在」ビザの取得を示唆されることもあります。
ロ.本国・他国に親を扶養する親族がいないこと。
以下のような事情があることを説明・証明する必要があります。
①扶養者が一人っ子であること。
②兄弟姉妹が全員日本に居住していること。
③本国・他国に居る兄弟姉妹が扶養できないこと。
④親の兄弟姉妹も扶養できないこと。
ハ.日本での扶養者に親を扶養するための経費支弁能力があること。
扶養者に安定収入・貯蓄などが十分にあり、生活保護などの日本の国・自治体の援助がなくても生活できることを説明・証明していく必要があります。
二.親を日本に呼び寄せる理由が「扶養すること」であること
親を日本に呼び寄せる理由が「扶養すること」でなければ、特別な事情には該当しません。
扶養者や配偶者の出産、孫の世話等の支援目的では該当しません。
例えば扶養者側の家族に小さい子供がいる場合は、支援目的と疑われる可能性がありますので、
そうではないことも説明する必要があります。
ホ.扶養者が日本にいること
扶養者自身が海外駐在や出張ででほとんど日本にいない場合や扶養者・配偶者が共に仕事をしている場合は
許可を得ることは困難です。
実態として、日本で責任を持って親を扶養する人が必要になります。
ヘ.日本に呼び寄せる親の人数
片親でないと難しいです。
両親を日本に呼び寄せる場合には、子供がいなくても二人で支え合って生活できると判断されてしまうからです。
(3)手続き
イ.親族訪問の短期滞在ビザで来日
ロ.短期滞在ビザの在留期限内に、短期滞在ビザから「特定活動」へ在留資格変更許可申請
事前に審査部門へ相談に行き、申請可能との返事を受ける必要があります。
在留資格変更許可申請書のほかに、特別な事情・経済能力等を説明・証明する資料を提出します