日本に居る外国人を採用する場合の在留資格3
「良い外国人がいるのだけれど、貴社で採用してみないか?」と言われた場合に
在留資格の観点からはどのような要件が必要なのでしょうか?
1.就労制限のない在留資格
前々回はホワイトカラー的職種での「技術・人文知識・国際業務」、「高度専門職」について、
また、前回は現場作業的職種で就業できる「特定技能」、「特定活動46号」について
説明しました。
今回は、職種に拘わらず就業できる在留資格である
「日本人の配偶者等」、「永住者」、「永住者の配偶者等」「定住者」について説明します。
これらは身分・地位に基づく在留資格です。
日本国内での就労活動の種類や範囲に制限がないため、
他の在留資格では制限されている業務や製造現場での単純労働等も行うことができます。
候補者の在留カードで上記何れかの在留資格であり就業制限がないことを確認してください。
各在留資格の概要は以下の通りです。
(1)永住者
「法務大臣が永住を認める者」です(入管法別表第二)。
その後の生涯を日本に生活の本拠を置いて過ごす者が想定されています。
永住者の在留資格を持って在留する者は、在留活動に制限がなく、在留期間にも制限はなく、
永住許可に係る審査は当該外国人の在留に関する最終審査になることから、
「相当期間日本に在留し、その間の在留状況に問題がなく、
将来にわたってもその在留に問題がないことが想定される」ことが、審査の要件となっています。
具体的には、
①素行善良要件、
②独立生計要件、
③国益要件があり、
申請時の在留資格により、必要な要件、要求される内容が異なっています。
例えば、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者または子である場合には,①及び②に適合することを要しません。
具体的な要件は、法務省HP掲載の「永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)」
http://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyukan_nyukan50.html
をご覧ください。
(2)日本人の配偶者等
「日本人の配偶者・特別養子、日本人の子として出生した者」です(入管法別表二)です。
要件は以下の通りです。
①日本人の配偶者:現に法律上の婚姻関係が成立していること、
同居し互いに協力し扶助し合って社会通念上の夫婦の共同生活を営むという婚姻の実体を伴っていることです。
したがって、法律上の婚姻関係が成立しているだけでは、日本人配偶者の在留資格を取ることができず、
申請に当たっては、交際中のメールのやり取り、結婚式・旅行等の写真等で婚姻の実体があることを説明する必要があります。
②日本人の特別養子:民法第817条の2第1項にもとづき家庭裁判所の審判により成立した特別養子の身分を有しているものです。
一般の養子縁組では認められません。
③日本人の子として出生した者:日本人の実子で養子は含まれません。
出生時に父母のいずれか一方が日本国籍を有していた場合、また本人の出生前に日本国籍の父が死亡した場合が該当します。
外国で出生した者も含まれます。
(3)永住者の配偶者等
「永住者・特別永住者 の配偶者または子として日本で出生しその後引き続き日本に在留している者」です(入管法別表二)
要件は以下の通りです。
①永住者・特別永住者の配偶者:日本人の配偶者と同じく現に法律上の婚姻関係が成立しており、
婚姻の実体を伴っていることです。
②永住者の子として日本で出生し、引き続き日本に在留する者:実子として出生時に父母の何れか一方が永住者の在留資格を持ち在留していたこと、
または本人の出生前に永住者の在留資格を持って在留していた父が死亡したことです。
③特別永住者の子として日本で出生し、出生後引き続き日本に在留する者:通常は、出生後60日以内に特別永住許可申請を行い、
特別永住者として在留することになりますが、申請期間を経過したため申請できないことです。
二.定住者
「法務大臣が特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して居住を認める者」です。
他のいずれかの在留資格にも該当しないが、日本での在留を認める特別な事情があると者を受け入れるための在留資格です。
その中には一定の類型を定めておき、そのいずれかに該当する場合に入国・在留を認められるもの(告示定住)と
個々に活動の内容を判断して、その入国・在留が認められるもの(告示外定住)があります。
定住者告示には、一定の要件を備えたミャンマー難民、日系人、中国在留邦人・親族等が規定されています。
定住者告示に定めがない者は、認定難民、日本人・永住者である配偶者と離婚、死別し引き続き日本に在留を希望する者等です。